おおいたペインクリニックの専門医による「痛みの相談室」|首・肩の痛み、こりの原因と当院専門医のアドバイス

肩こりに悩んでいます。病院を受診すべきでしょうか?

多くの方が「肩こりは体質だから」と諦めて市販薬やマッサージに頼りがちですが、長引く肩こりには、根本的な原因が隠されていることが多いです。

単なる疲労や姿勢の悪さだけでなく、長年の肩こりが治らない場合、次のようなメカニズムが考えられます。

  1. 筋・筋膜性疼痛(トリガーポイント)の形成: 長時間の緊張や無理な姿勢が続くと、首や肩の筋肉(僧帽筋など)の一部に硬いしこりのような部分、すなわち「トリガーポイント」が形成されます。このトリガーポイントは、血行を悪化させ、さらに痛み物質を放出し、慢性的な痛みの悪循環を生み出します。
  2. 神経の関与: 重度の肩こりでは、筋肉の緊張が周辺の神経を圧迫したり、痛みが脳に伝わる途中の経路で異常をきたしたりすることで、痛みが定着してしまうこともあります。

単なる湿布や薬で一時的に痛みを抑えるのではなく、痛みの発生源に直接アプローチすることで、根本的な改善を目指します。

長年の肩こりを解消するために、主に以下の治療が有効であると考えられます。

  • トリガーポイント注射(TPI): 原因となっている硬いしこり(トリガーポイント)に、局所麻酔薬などを直接注射します。これにより、筋肉の異常な緊張を和らげ、血流を改善し、長年の痛みの悪循環をリセットすることが期待できます。
  • 星状神経節ブロック注射(SGB): 痛みの慢性化に自律神経の乱れが関与している場合、首の付け根にある神経節にアプローチし、全身の血流改善や痛みをコントロールする神経系の調整を行うことがあります。

長年の肩こりから解放され、より快適な日常生活を取り戻すために、痛みの専門家である私たちにぜひご相談ください。予約制となっておりますので、まずはお電話にてお問い合わせいただければ幸いです。

肩こりは体質が原因ですか?姿勢をよくするように心掛けていますがずっと肩こりに悩んでいます。

肩こりは「体質」による部分もゼロではありませんが、それ以上に「体の使い方や構造によって生じる病態」であり、適切に治療することで改善が見込めます。
多くの場合、「体質」だと諦められる背景には、生まれ持った以下の要因が関わっていることがあります。
自律神経の乱れ: ストレスを受けやすい、あるいは交感神経が優位になりやすい体質の方は、無意識に筋肉が緊張しやすくなります。
骨格や体型: なで肩や猫背などの骨格的な特徴は、首や肩の筋肉に常に負担をかけやすい状態を作り出します。

しかし、これらは「治らない体質」ではなく、「負担がかかりやすい状態」であり、治療と生活習慣の改善で十分にコントロール可能です。

当院では、単なるマッサージで一時的に緩めるのではなく、痛みの発生源に直接働きかけ、根本的な改善を図ります。

  1. 痛みの原因の特定とリセット: 肩の深部にある硬結(しこり)であるトリガーポイントや、痛みを伝える神経に、局所麻酔薬や薬剤を少量注入する治療を行います(トリガーポイント注射や神経ブロック)。これにより、過度に緊張した筋肉を強制的に緩め、血流を回復させ、痛みの悪循環を根源から断ち切ります。

自律神経の調整: 慢性的な痛みは自律神経の乱れと密接に関係しています。**星状神経節ブロック(SGB)**などを行うことで、自律神経のバランスを整え、血行を改善し、痛みに過敏になっている体質そのものを改善に導きます。

四十肩・五十肩の正体は何でしょうか?

医学的には、四十肩(40代)や五十肩(50代)は「肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)」という病名で呼ばれます。

これは、肩の関節を包む袋(関節包)や、肩を動かす腱(腱板)といった組織に、炎症が起こり、痛みとともに肩の動きが制限されてしまう状態です。

この病態の根本原因は、加齢に伴い肩関節周辺の組織が変性(劣化)し、血流が悪化したり、小さな傷が修復されにくくなったりすることです。

  • 関節包や腱板の炎症・拘縮(こうしゅく): 炎症が起こると強い痛みを伴い、動かすことを避けるようになります。その結果、関節包が硬く縮んでしまい、腕が上がらない、後ろに回せないといった「可動域の制限(拘縮)」を引き起こします。
  • 睡眠時の激痛: 夜間に炎症物質が溜まりやすくなったり、寝返りなどで肩が圧迫されたりすることで、夜中に目が覚めるほどの激痛(夜間痛)を伴うのが大きな特徴です。

当院では、痛みを専門的にコントロールし、リハビリテーションを効果的に進められるようサポートします。

  • 肩関節内注射(ブロック注射): 痛みの元凶である炎症を速やかに鎮めることが最優先です。炎症が起こっている肩関節内や、痛みを伝える神経の周辺に直接、鎮痛薬を注入します。これにより、夜間痛などの激しい痛みを和らげ、安静を保ちやすくします。
  • トリガーポイント注射とリハビリ: 関節周囲の緊張している筋肉に注射を行うことで、動きの制限を改善し、その後の理学療法士によるリハビリテーションをスムーズに開始できるようにサポートします。

自宅で肩こりのケアはできますか?

はい、自宅でのセルフケアは非常に有効です

特に、軽度から中等度の筋肉の緊張や血行不良が原因の肩こりに対しては、日々のケアが痛みの悪化を防ぐ「予防薬」になります。ただし、自宅ケアの目的は、「痛みの予防と軽減」であり、「根本的な治癒」は専門的な治療が必要です。

自宅ケアが有効な理由(痛みの原因へのアプローチ)

  1. 蒸しタオル、使い捨てカイロ、入浴などが効果的です。患部を20~30分しっかり温める。(温熱療法)
  2. 首をゆっくり前後左右に倒すストレッチや、肩甲骨を大きく回す運動を、痛くない範囲で、毎日継続的に行ってください。(ストレッチ)
  3. PC作業中は椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばし、目線とディスプレイの高さを合わせることが重要です。30分に一度は立ち上がりましょう。(姿勢の意識)

ご自宅でできるケアは、痛みの悪循環のうち、主に**「血行不良」と「筋肉の過緊張」**を改善するのに役立ちます。

首の痛みの主な原因は何がありますか?

首(頸部)には、重い頭を支える骨(頸椎)やクッション(椎間板)、そして手足につながる重要な神経が密集しています。痛みの主な原因は、この構造のどこに問題が生じているかによって分類されます。

  1. 筋肉・筋膜性の問題(最も多い):
    • 原因: 長時間のデスクワークやスマホ操作による不良姿勢、精神的なストレスによる筋肉の過緊張。
    • 病態: 首の後ろや横の筋肉にトリガーポイントができ、鈍い痛みや張りを感じます。これは肩こりの痛みが首にまで波及した状態とも言えます。
  2. 神経の圧迫・炎症による問題:
    • 原因: 加齢や外傷による頸椎の変形(頸椎症)、椎間板が飛び出す(頸椎椎間板ヘルニア)。
    • 病態: 首から肩甲骨、腕、指先にかけて「電気が走るような」「ピリピリする」強い痛みやしびれが出現します(これを神経根症状と呼びます)。
  3. 関節・骨の問題:
    • 原因: 頸椎の関節(椎間関節)の炎症や摩耗。
    • 病態: 首を特定の方向に動かしたときや、朝起きたときに痛みが強くなります。

首の痛みは、放置するとしびれが固定化したり、日常生活に重大な支障をきたしたりする可能性があります。

当院のようなペインクリニックでは、痛みの専門的な診断に基づき、原因に応じた治療で痛みを速やかに和らげます。

  • 神経根ブロック注射: ヘルニアなどで圧迫され炎症を起こしている神経の根元に、局所麻酔薬などを注入し、神経の興奮と炎症を直接鎮めます。これにより、腕や指先の激しい痛みやしびれを劇的に改善することが可能です。
  • トリガーポイント注射: 筋肉の緊張が原因の場合、深部のしこり(トリガーポイント)にアプローチし、血流を改善し、首の重だるさや張りを解消します。
  • 専門的な診断: 痛みの原因が筋肉なのか、神経なのかを正確に診断し、最適な治療法を選択します。

併せて頭痛やめまいがすることがあります。首の痛みと関係がありますか?

この症状の組み合わせは、「頚性神経筋症候群(けいせいしんけいきんしょうこうぐん)」や「後頭神経痛」、あるいは「自律神経の不調」が関与している可能性を示唆しています。

1. 頭痛の原因を掘り下げる(頚椎・後頭神経)

首の骨(頸椎)や、後頭部につながる神経が原因で頭痛が起こることがあります。

  • 後頭神経痛: 首の付け根から頭皮にかけて走る「後頭神経」が、首や肩の筋肉の極度の緊張によって圧迫されると、後頭部から頭頂部にかけてズキズキ、チクチクとした鋭い痛み(神経痛)が発生します。
  • 筋緊張性頭痛の悪化: 首の筋肉(僧帽筋や後頭下筋群)の強い緊張が、頭部全体を締め付けるような緊張型頭痛を引き起こしたり、悪化させたりします。

2. めまいの原因を掘り下げる(自律神経・平衡感覚)

めまいは、首の異常から平衡感覚の乱れや自律神経の不調が生じることで起こります。

  • 自律神経の乱れ: 首の周りには、自律神経(交感神経・副交感神経)の束である星状神経節があります。首の筋肉の緊張や炎症がこの神経節に影響を与えると、血圧のコントロールや平衡感覚をつかさどる自律神経が乱れ、めまいやふらつき、耳鳴りといった症状につながることがあります。

当院では、このような痛みの連鎖を断ち切る治療を行います。

一般的に、軽度であれば温熱療法やストレッチで改善することもありますが、頭痛やめまいを伴う場合は、セルフケアだけでは限界があり治療をお勧めします。

  • 星状神経節ブロック注射(SGB): 首の付け根にある自律神経の過緊張を直接鎮め、自律神経のバランスを整えます。これにより、頭痛、めまい、ふらつき、不眠といった多様な症状の改善が期待できます。
  • 後頭神経ブロック: 後頭神経が原因の頭痛の場合、痛みの発生源である神経に直接働きかけ、激しい神経痛を即座に鎮めることができます。

ストレートネックと言われたことがあります。治療で治りますか?

「ストレートネック」は、現代人にとって非常に一般的な悩みであり、首の痛みや肩こり、さらには頭痛やめまいの原因ともなり得る重要な病態です。

ストレートネックとは何でしょうか?

ストレートネックとは、本来、緩やかなS字カーブを描いているべき首の骨(頸椎)が、まっすぐに(ストレートに)なってしまっている状態を指します。

この状態になると、首や肩に以下のような大きな負担がかかり、慢性的な痛みにつながります。

  1. 衝撃の吸収能力の低下: S字カーブは、歩行時などの頭の重さや衝撃を分散・吸収するクッションの役割を果たしています。カーブが失われると、この衝撃が吸収されず、首や肩、さらには頭部に直接伝わりやすくなります。
  2. 筋肉への過負荷: まっすぐになった頭を支えるため、首の後ろや肩の筋肉が常に引っ張られ、過剰な緊張を強いられます。これが慢性の肩こりや首の痛みの根本的な原因となります。
  3. 神経症状の誘発: まっすぐな状態が続くと、頸椎の関節や椎間板に負担が集中し、頸椎症や椎間板ヘルニアを誘発しやすくなります。結果として、腕や指にしびれが出現するリスクが高まります。

ストレートネックは治療で治りますか?

ストレートネックそのものの骨格的な形状を完全に元通りにするのは難しいですが、それによって引き起こされている痛みや不調は専門的な治療で「劇的に改善」できます。

ストレートネックが原因で発生した慢性痛に対しては、以下の治療を組み合わせて、痛みの悪循環を断ち切ることを目指します。

  1. 痛みの悪循環の解除(注射療法): 長年の過負荷により定着してしまった首や肩のトリガーポイント(硬結)や、炎症を起こした神経に対して、トリガーポイント注射や神経ブロック注射を行い、まず痛みをリセットします。これにより、硬く緊張した筋肉を強制的に緩め、リハビリを受け入れやすい状態にします。
  2. 理学療法と姿勢指導: 注射で痛みが和らいだ後、理学療法士による専門的な指導が重要になります。正しい姿勢を覚え、首と肩のインナーマッスルを強化することで、まっすぐな首でも負担がかかりにくい体の使い方を習得し、痛みの再発を防ぎます。