おおいたペインクリニックの専門医による「痛みの相談室」|頭痛・顔の痛みの原因と当院専門医のアドバイス

毎日のように頭が締め付けられるように痛みます。痛み止めは効きますが、根本的に治る方法はありますか?

その症状は、最も一般的な頭痛である緊張型頭痛の典型的な症状です。これは主に筋肉の過度な緊張によって引き起こされます
- 筋肉の緊張: デスクワークや不良姿勢、精神的ストレスにより、首から肩、後頭部にかけての筋肉(僧帽筋、後頭下筋群など)が異常に硬くなります。
- 血流の悪化: 筋肉が緊張すると、周辺の血管が圧迫され、血流が悪化し、老廃物が蓄積します。
- 神経の刺激: この緊張と血流の悪化が、頭の周囲の神経を刺激し、頭全体を締め付けるような、重だるい痛みとして脳に伝わります。
- 原因: 手首の小さな骨(手根骨)の関節に炎症が起きている場合や、関節炎が進行している場合です。
治療によってどう良くなるか
市販の痛み止めは一時的な対処ですが、ペインクリニックでは痛みの発生源である筋肉の緊張と神経の炎症に直接アプローチします。
- トリガーポイント注射(TPI): 痛みの元凶となっている首や肩の深部の硬結(トリガーポイント)に局所麻酔薬などを注入し、筋肉の緊張を速やかに解除し血流を回復させます。これにより、痛みの悪循環を断ち切ります。
- 星状神経節ブロック(SGB): ストレスや自律神経の乱れが原因の場合、自律神経のバランスを整えるSGBを行い、痛みの閾値(痛いと感じる基準)を正常に戻し、慢性化を防ぎます。

ズキンズキンと脈打つような激しい頭痛が定期的に起こり、吐き気もします。光や音もつらいです。これはペインクリニックで診てもらえますか?

「ズキンズキンと脈打つような痛み」「吐き気」「光や音に過敏になる」という症状は、片頭痛(へんずつう)の特徴です。これは、単なる筋肉の緊張ではなく、脳の血管と神経の炎症が原因とされています。
- 三叉神経血管説: 脳の血管周囲にある三叉神経が何らかの誘因(ストレス、特定の食べ物、天候の変化など)で過剰に刺激されます。
- 炎症性物質の放出: この刺激により、血管に炎症を起こす物質が放出され、血管が拡張します。
- 脈打つ痛み: 拡張した血管が拍動するたびに、周囲の神経が刺激され、脈打つような激しい痛みが発生します。
治療によってどう良くなるか
片頭痛は市販薬では対応しきれないことが多く、専門的な予防・急性期治療が必要です。
- 神経ブロック注射: 痛みが起きている部位に関連する大後頭神経ブロックなどを行うことで、神経の興奮を落ち着かせ、急性期の激しい痛みを速やかに緩和します。

顔の左側が突然ピリッと痛くなることがあって、ひどいときは話すのも怖いくらいです。何かの拍子に突然痛みが出るので、人と会うのも不安になります。何が原因なんでしょう?

この症状は、ペインクリニックが最も専門とする神経の痛みであり、特定の病気が強く疑われます。
顔の片側に突発的に起こる、電気が走るような激しい痛みは、ほぼ例外なく「三叉神経(さんさしんけい)」の異常が原因である可能性が高いです。
- 三叉神経痛(さんさしんけいつう)の可能性
- 原因: 三叉神経とは、顔の感覚を脳に伝える重要な神経で、主に三本の枝(眼神経、上顎神経、下顎神経)に分かれて顔の広い範囲を支配しています。この神経の根元付近が、血管や骨によって圧迫されることで、神経が過敏になり、異常な信号を脳に送るために痛みが発生します。
- 特徴: 痛みは**「電撃様(でんげきよう)」と表現される一瞬の激痛**で、数十秒から数分で治まります。
- 誘発因子: 洗顔、歯磨き、食事、会話、風に当たるなど、顔の特定の部分にわずかな刺激が加わることで、痛みが引き起こされるのが最大の特徴です。この誘発因子のために、人と会うのが怖くなるのですね。
- 場所: 痛む場所は、三叉神経の支配領域(おでこ、頬、あごなど)の片側だけに限られます。
- 帯状疱疹後神経痛(稀に)
過去に顔に帯状疱疹(ヘルペス)を患ったことがある場合、その後に神経痛が残ることがあります。この場合も痛みが顔の片側に出ますが、持続的なヒリヒリとした痛みを伴うことが多いです。
治療によってどう良くなるか
三叉神経痛は、通常の鎮痛薬では効果がなく、ペインクリニックでの専門的な治療が不可欠です。放置すると、痛みが慢性化し、食事や会話ができなくなるほど重症化するリスクがあります。
- 内服薬による治療: まず、神経の異常な興奮を落ち着かせるための**神経障害性疼痛治療薬(抗てんかん薬など)**を服用することで、痛みの頻度や強度を減らします。
- 神経ブロック注射: 内服薬でコントロールが難しい場合や、速やかに痛みを止めたい場合は、三叉神経の枝(最も痛む部位)に対して神経ブロック注射を行います。痛みの神経に直接働きかけ、異常な興奮を鎮めることで、劇的な痛みの緩和が期待できます。
- 診断と鑑別: 当院では、痛みの原因が単純な神経痛なのか、それとも脳腫瘍などの他の重篤な病気ではないか(この可能性は稀ですが)を鑑別するため、精密な診断を行います。
三叉神経痛は、痛みの専門家である私たちが最も得意とする疾患の一つです。人と会う不安や、食事への恐怖を解消するために、ぜひ一度ご相談ください。痛みのコントロールは可能です。
