おおいたペインクリニックの専門医による「痛みの相談室」|腰の痛みの原因と当院専門医のアドバイス

立ち上がったり、物を持ち上げたりする時に強い痛みが走ることがあります。

もし、痛みが腰や背中の下部、または肩甲骨のあたりに生じるのであれば、これは体幹を支える関節や筋肉の不安定性が原因かもしれません。
椎間関節性疼痛(ついかんかんせつせいとうつう): 背骨の小さな関節(椎間関節)に炎症や摩耗が生じていると、立ち上がりなど体幹をひねったり反らしたりする特定の動作の際に、関節がこすれて鋭い痛みが走ります。
筋・筋膜性疼痛(トリガーポイント): 重いものを持ち上げる際、姿勢を保持しようとして深部の筋肉(多裂筋など)に急激な過負荷がかかり、強烈なトリガーポイントが形成され、動作の瞬間に痛みが走ります。
「特定の動作で走る痛み」は、痛みの発生源を特定しやすく、当院の専門治療の効果が非常に期待できます。
一般的に安静や湿布、消炎鎮痛薬などで様子を見ることが多いですが、痛みが強い場合は炎症が治まりにくく、慢性化してしまいます。
腰椎椎間関節ブロック注射: 痛みの発生源が関節にあると特定できた場合、その関節に直接局所麻酔薬や抗炎症薬を注入し、炎症を速やかに鎮めます。これにより、痛みを恐れずに動作ができるようになり、リハビリへの移行がスムーズになります。
トリガーポイント注射: 深部の筋肉の強い緊張やトリガーポイントが原因の場合は、痛みの引き金となっている部位に正確に注射し、筋肉の緊張をリセットします。
腰部硬膜外ブロックや腰部神経根ブロック:腰部に発生する疼痛を広く根本から鎮めます。X線レントゲン透視下で実施する事が多いです。

すこし動かしただけで腰が痛いです。どんな原因が考えられますか?

この症状、つまり**「体動時痛(たいうつじつう)」**の背景には、いくつかの重要な原因が考えられます。特に「少し動かすだけ」で痛む場合は、以下の病態を強く疑います。
- 急性期の関節の炎症(椎間関節炎):
- 原因: 重い物を持ち上げる、不意に腰をひねるなど、日常のわずかな動作で腰椎の小さな関節(椎間関節)に強い負荷がかかり、炎症を起こしている状態です。
- 病態: 椎間関節は、背骨の動きをガイドする役割がありますが、炎症を起こすと、体勢を変える、立ち上がる、寝返りを打つといったわずかな動きでも鋭い痛みが走ります。
- 筋・筋膜の急激な損傷(ぎっくり腰の急性期):
- 原因: 筋肉やそれを覆う筋膜に急性の損傷や、強い炎症が生じた状態です。
- 病態: 炎症が非常に強いため、動作を始めるときだけでなく、持続的な痛みや、動作開始時の激しい痛みを伴います。
- 椎間板性疼痛の悪化:
- 原因: 椎間板の内側に傷がつき、動作によって圧力がかかると痛みが生じます。
- 病態: 動かすことで椎間板が圧迫され、腰の深部から鈍く響くような痛みを感じることがあります。
「少し動かしただけで痛い」という急性期の痛みは、炎症を速やかに鎮めることが、慢性化を防ぎ、早期回復の鍵となります。自己流の対処では、かえって痛みを長引かせてしまうことがあります。
一般的には安静が第一ですが、痛みが強すぎる場合は以下の専門治療が有効です。
当院での治療
- 椎間関節ブロック注射: 痛みの発生源である椎間関節に正確に局所麻酔薬と抗炎症薬を注入します。これにより、関節の激しい炎症と痛みを効率よく鎮め、安静を保ちやすくし、回復を早めることができます。
- 腰部硬膜外ブロック注射: 腰部の脊髄を覆う硬膜外腔に薬液を注入し、広範囲の神経の炎症を抑え、筋肉の緊張を緩めます。特に急性の強い痛みに非常に有効です。

腰が痛いときはストレッチや軽い運動をした方がいいですか?逆効果ですか?

結論として、それは痛みの「状態」と「原因」によって異なります。判断を誤ると、逆効果になり、痛みを悪化させてしまう危険性があります。
控えるべき時期(急性期)
「少し動かすだけで強い痛みがある」「鋭い痛みが走る」「炎症が強い」といった急性期は、安静が最優先であり、ストレッチや運動は逆効果です。
- 理由: 炎症を起こしている部位(関節や筋肉、神経)に負荷をかけると、炎症が拡大し、治癒が遅れます。
- 症状: ぎっくり腰の直後や、体動時に激痛が走る場合。
推奨される時期(慢性期・回復期)
「鈍い重い痛みが続く」「動かし始めが痛いが、動いているうちに少し楽になる」といった慢性期や回復期は、軽い運動やストレッチは有効です。
- 効果: 筋肉の緊張を緩め、血行を改善し、痛みの慢性化を防ぎます。特に体幹の安定性を高める運動は、腰痛の再発予防に不可欠です。
是非一度クリニックでご相談下さい。
自己判断で運動を始めた結果、実は神経の炎症が進行していた、というケースは少なくありません。
当院では、まず画像診断や専門的な触診によって、あなたの痛みが急性なのか慢性なのか、原因が筋肉なのか、関節・神経なのかを正確に判断します。
- 急性期の治療: 強い痛みにはブロック注射で炎症を速やかに鎮め、安心して動ける状態にします。
- 慢性期の治療: 痛みが落ち着いた後、腰痛を再発させないための適切な運動指導へとスムーズに移行します。

腰から足にかけてしびれを伴います。

腰から足にかけてのしびれ(「坐骨神経痛」と呼ばれる症状)の主な原因は、腰椎(腰の骨)の異常によって、足へと向かう神経が圧迫または刺激を受けていることです。
考えられる主な病態は以下の通りです。
- 腰椎椎間板ヘルニア:
- 原因: 腰椎のクッション材である椎間板が後方に飛び出し、脊髄や神経の根元を強く圧迫しています。
- 病態: 特に前かがみになったり、座ったりしたときに痛みが強くなり、片側の臀部から太もも、ふくらはぎ、足先にかけて、電気が走るような鋭い痛みやしびれが発生します。
- 腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう):
- 原因: 加齢などにより、脊髄が通るトンネル(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫されます。
- 病態: しばらく歩くと足が痛くなったりしびれたりして歩けなくなり、前かがみになって休むと症状が和らぐ(間欠性跛行)のが特徴的です。
- 梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん):
- 原因: 臀部にある梨状筋という筋肉が緊張し、その下を通る坐骨神経を圧迫することで起こります。
- 病態: 主にお尻の奥から太ももの裏側にかけて痛みやしびれが出ます。
治療によってどう良くなるか
足までしびれが出ている場合、神経の炎症を放置すると、しびれが固定化したり、筋力の低下につながったりするリスクがあります。
ペインクリニックでの治療は、この神経の炎症を専門的に鎮めることに特化しています。
腰部硬膜外ブロック注射: 腰部の脊髄神経を覆う硬膜の外側の空間に、抗炎症薬などを注入します。これにより、圧迫を受けている神経全体の炎症を効果的に鎮め、しびれや痛みを速やかに和らげます。
腰部神経根ブロック注射: MRIなどの画像診断で特定した、最も圧迫を受けている神経の根元にピンポイントで薬液を注入します。これにより、激しいしびれや痛みを即座にコントロールすることが可能です。ピンポイントで原因部位を捉えることができた場合、神経ブロック治療の効果延長を期待して、神経根パルス高周波法を実施することも可能です(保険適応内)。

歩いていると脚がしびれてきて、少し休むと楽になるんです。でもまた歩くとつらくなって…最近は買い物にも出かけにくくなってしまいました。これって年のせいですか?

その症状は「腰部脊柱管狭窄症」のサインかもしれません
あなたが訴えられている「歩くとつらくなり、休むと回復する」という症状は、**間欠性跛行(かんけつせいはこう)**と呼ばれ、**腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)**の典型的な特徴です。
1. 腰部脊柱管狭窄症とは?
背骨の中には、脊髄という神経の束が通る**「脊柱管」というトンネルがあります。加齢に伴い、このトンネルの周囲にある靭帯が厚くなったり、骨が変形したりすることで、トンネル(脊柱管)が狭くなり、中の神経が圧迫されてしまう病気**です。
2. 間欠性跛行が起こるメカニズム
- 歩行時(特に背筋を伸ばしたとき): 背筋を伸ばして歩くと、狭くなった脊柱管がさらに狭くなり、神経への圧迫が増します。その結果、**脚に血液が行き渡りにくくなり、しびれや痛み(坐骨神経痛)**が発生します。
- 休息時(前かがみになったとき): 立ち止まって前かがみになったり、座って休んだりすると、脊柱管がわずかに広がり、神経への圧迫がゆるみます。これにより血流が回復し、症状が一時的に楽になるのです。
この症状のため、買い物や散歩など、日常的な活動が困難になる患者様は非常に多く、生活の質(QOL)を大きく低下させてしまいます。
治療で元の生活を取り戻しましょう
これは単なる「老化現象」ではなく、神経の圧迫による病態であり、適切な治療で症状を大幅に改善できる可能性が高いです。
当院では、狭窄症による症状に対し、以下のような専門的なアプローチを行います。
- 診断の確定: まず、画像診断で脊柱管のどの部分が、どれくらい狭くなっているのかを推測します(他院紹介でMRI検査を依頼することもあります)。
- 腰部硬膜外ブロック注射や腰部神経根ブロック注射: 神経が圧迫されている部位の炎症を効果的に鎮め、しびれや痛みを和らげます。これにより、痛みを気にせず歩ける時間が長くなり、間欠性跛行の改善が期待できます。
- リハビリテーション指導: 神経の圧迫を強めないよう、前かがみの姿勢を保ちやすくするような筋肉の使い方や運動を指導します。
「年のせいだから仕方ない」と諦める必要はありません。 適切な治療を受ければ、以前のようにスムーズに歩き、買い物も楽しめるようになる可能性が高まります。ぜひ一度、ご相談にお越しください。
