おおいたペインクリニックの専門医による「痛みの相談室」|膝・足の痛みの原因と当院専門医のアドバイス

階段の上り下りや立ち上がる時に膝の皿のあたりが痛いです。

これは、膝の軟骨や関節そのものよりも、膝蓋骨周辺の構造的な不調和や、膝にかかる力のバランスの乱れが原因となっている可能性が高いです。
膝の皿の痛みを伴う病態で最も一般的に考えられるのは、「膝蓋軟骨軟化症(しつがいなんこつなんかしょう)」や「膝蓋大腿関節症(しつがいだいたいかんせつしょう)」といった、膝蓋骨とその下の太ももの骨(大腿骨)との間の関節の問題です。
- 膝蓋骨への過度な摩擦と圧力
原因: 膝を曲げ伸ばしする際、膝蓋骨は太ももの骨の溝の上を滑りますが、その軌道がわずかにズレたり、太ももの筋肉(大腿四頭筋)の使い方のバランスが崩れたりすると、膝の皿の裏側の軟骨に過度な摩擦と圧力がかかります。
病態: この摩擦が続くことで軟骨が傷つき(軟化)、炎症が起こり、階段の上り下りのように膝に体重がかかりながら深く曲がる動作の際に、特に強い痛みを感じます。 - 筋肉の弱体化やアンバランス
原因: 膝を安定させる太ももの筋肉(特に内側の筋肉)が弱くなると、膝蓋骨を正しい位置で引っ張る力が弱まり、外側にズレやすくなります。
病態: 膝の不安定さが増し、動作時に膝蓋骨がグラつくことで、痛みが生じやすくなります。 - 治療によってどう良くなるか
膝の皿の痛みは、放置すると軟骨の損傷が進み、痛みが悪化する傾向があります。早期に炎症を鎮め、膝にかかる力のバランスを整えることが重要です。
一般的には、膝周りの筋力トレーニングやサポーターが用いられますが、痛みが強い場合は専門治療が必要です。
ヒアルロン酸注射/ステロイド関節内注射: 膝の皿と太ももの骨の間にある関節内に注射を行い、炎症を鎮めたり、軟骨の保護や潤滑を助けたりします。これにより、痛みを和らげ、リハビリを行いやすい状態にします。
膝周囲の神経ブロック治療:エコー装置を用いて超音波ガイド下神経ブロックを行います。膝周囲に分布する神経の根本で痛み刺激信号を遮断し、痛みを緩和することができます。
治療によってどう良くなるか
膝の皿の痛みは、放置すると軟骨の損傷が進み、痛みが悪化する傾向があります。早期に炎症を鎮め、膝にかかる力のバランスを整えることが重要です。
一般的には、膝周りの筋力トレーニングやサポーターが用いられますが、痛みが強い場合は専門治療が必要です。
ヒアルロン酸注射/ステロイド関節内注射: 膝の皿と太ももの骨の間にある関節内に注射を行い、炎症を鎮めたり、軟骨の保護や潤滑を助けたりします。これにより、痛みを和らげ、リハビリを行いやすい状態にします。
膝周囲の神経ブロック治療:エコー装置を用いて超音波ガイド下神経ブロックを行います。膝周囲に分布する神経の根本で痛み刺激信号を遮断し、痛みを緩和することができます。
理学療法と運動指導: 注射で痛みが軽減した後、膝蓋骨の動きを正常に戻すための太ももや股関節周りの筋力強化とストレッチを重点的に指導します。これは、膝蓋骨への不必要な摩擦を減らし、痛みの再発を防ぐために最も重要です。

膝からゴリゴリと音がするような気がします。

この「音」は、専門的にはクレピタス(きしむ音)と呼ばれ、膝関節内の軟骨や構造に摩擦が生じていることを示唆しており、特に変形性膝関節症の初期サインとして現れることが多い症状です。
ゴリゴリという音の主な原因は、関節の「クッション材」の劣化と摩擦にあります。
関節軟骨の摩耗(変形性膝関節症の初期)
- 原因: 膝関節の表面を覆う関節軟骨が、加齢や過度な負担(肥満、過去の外傷など)により少しずつすり減り始めます。
- 病態: 軟骨がすり減ると、表面が滑らかでなくなり、膝を動かしたときに骨同士が直接触れ合ったり、軟骨のささくれが擦れたりして「ゴリゴリ」という音や感触が発生します。この段階では、まだ強い痛みを伴わないこともありますが、放置すると炎症や痛みが悪化します。
膝蓋骨の異常な動き(前回のお悩み)
- 原因: 前述の膝蓋大腿関節(膝の皿と太ももの骨の間)の軌道がズレている場合、膝の皿の裏側と大腿骨が異常な場所で擦れ合い、音が出ることがあります。
治療によってどう良くなるか
「ゴリゴリ音」は、軟骨が損耗しているという警告サインです。このサインを放置すると、進行して強い痛みや炎症につながるため、早期に進行を抑えることが重要です。
一般的には、体重コントロールやサポーターの使用が推奨されますが、関節内の環境改善には専門的な治療が非常に有効です。
- ヒアルロン酸注射: 軟骨がすり減った関節に直接ヒアルロン酸を注入します。これにより、関節内の潤滑性(滑り)を改善し、軟骨を保護して、ゴリゴリ音の原因となる摩擦を軽減することが期待できます。
- 関節内注射による炎症の抑制: もし音とともに軽い炎症や痛みがある場合、抗炎症薬を併用することで、関節内の炎症を鎮め、症状の進行を抑えます。
- 理学療法と筋力強化: 膝にかかる負担を軽減するため、大腿四頭筋(太もも前)や股関節周囲の筋肉を強化し、膝関節の安定性を高めるリハビリテーションを指導します。これは、軟骨の更なる摩耗を防ぐ上で不可欠です。
- 膝周囲の神経ブロック治療:エコー装置を用いて超音波ガイド下神経ブロックを行います。膝周囲に分布する神経の根本で痛み刺激信号を遮断し、痛みを緩和することができます。

膝が痛くて正座ができません。何が原因でしょうか?

正座のように膝を深く曲げたときに痛みが出るのは、特定の部位に高い圧力がかかることが原因であり、膝の軟骨や組織が損傷しているサインであることが多いです。
正座ができない主な原因は、膝の関節の最も基本的な問題である「変形性膝関節症」が進行している可能性が最も高いです。
- 変形性膝関節症による関節軟骨の損傷
- 原因: 膝関節の内側(あるいは全体)の関節軟骨がすり減り、骨が変形していく病気です。
- 病態: 正座は、体重の数倍の圧力が膝関節にかかり、さらに関節が最も深く曲げられる姿勢です。軟骨がすり減った部分の骨同士がこの姿勢で強くぶつかり合ったり、関節包(関節を包む袋)が引き伸ばされたりすることで、激しい痛みが発生します。
- 半月板損傷
- 原因: 膝関節のクッションであり、安定化させている半月板が、加齢や動作の負荷で損傷している状態です。
- 病態: 半月板が損傷していると、正座をしたときに半月板が挟み込まれたり、関節内で不安定な動きをしたりすることで、激しい痛みや**ロッキング(膝が動かなくなる現象)**を引き起こすことがあります。
治療によってどう良くなるか
正座ができないほど症状が進行している場合は、放置すると関節の変形が進み、歩行にも影響が出始める可能性があります。早期に痛みを緩和し、関節への負担を減らすことが必要です。
一般的に、痛み止めやサポーターが用いられますが、関節内の状態を改善するには専門治療が有効です。
- ヒアルロン酸注射: 関節内の滑りを良くし、軟骨を保護する目的でヒアルロン酸を注入します。これにより、関節の摩擦を軽減し、正座の際の痛みの軽減が期待できます。
- 関節内ステロイド注射: 強い炎症がある場合は、関節内に抗炎症薬を注射し、痛みの元である炎症を速やかに鎮めます。この処置により、膝の腫れや痛みが改善し、関節の可動域の回復を助けます。
- 理学療法と生活指導: 痛みが落ち着いた後、膝の負担を減らすための太ももや股関節の筋力強化、そして正座を避けるための生活環境のアドバイス(洋式生活への切り替えなど)を専門的に行います。
- 膝周囲の神経ブロック治療:エコー装置を用いて超音波ガイド下神経ブロックを行います。膝周囲に分布する神経の根本で痛み刺激信号を遮断し、痛みを緩和することができます。
